「就活家族」から考える、良い嘘と悪い嘘の境界線

「嘘をついてはいけません」

子どもの頃に親や先生からよく言われる言葉です。

一方、「嘘も方便」ということわざもあります。

これは、物事をうまくまとめる為には嘘も時として必要になる、という意味です。

子どもに「嘘はいけない」と教えるけれども、実際の大人の社会では嘘を付く事は多々あります。

このように嘘には、「ついてもいい嘘」と「つかない方がいい嘘」があるようです。

その線引きってどこにあるのでしょうか？

全クール、テレビ朝日系列で放送されていたドラマ「就活家族」。

この物語の中心となる富川家の父、洋輔（三浦友和）は、大手鉄鋼メーカーに勤めているエリートサラリーマンなのですが、もう少しで役員昇格という時に退職に追い込まれてしまいます。

会社を辞めたことを家族に言えず、そのことで次から次へと嘘を付き、そのことがきっかけとなり家族（父・母・娘・息子）はバラバラになっていきます。

洋輔の嘘は表面上、新居への引越しを楽しみにしている家族を落胆させたくない、心配を掛けたくないという「家族の為についたもの」でした。

しかしこの嘘の裏には、退職の引き金となった「部下の女性との不倫疑惑」を家族に知られたくない、父親としての威厳を守りたいという「自分の為についた嘘」という一面がありました。

洋輔が会社に行っているフリをする為に暇をつぶしていた公園でたまたま出会った天谷五郎（段田安則）も、同じ境遇。

この天谷は物語の終盤、家族とやり直す事を諦めかけた洋輔に「自分も真実を家族にきちんと話し、許してもらいました。富川さんも今ならまだ間に合います、大丈夫」と声を掛け励まします。

しかし実際のところ天谷は家族と離婚し、一人で生活しているのでした。

この天谷の嘘は、洋輔に勇気を与える為のもの。

つまりは自分以外の「誰かの為についた嘘」なのです。

このように嘘には、「自分の為につく嘘」と「誰かの為につく嘘」の2種類が存在します。

年齢のサバ読み、年収の上乗せ、経歴詐称。こういった事は「自分の為の嘘」であり、その深刻度が増すにつれて、嘘がばれた時には相手を深く傷つけ、自分の信頼を大きく失うことに繋がります。

見栄やプライド、自信のなさから気軽についた、自分の為の「たった一つの嘘」が、取り返しのつかない事になることもあるのです。

一方で「誰かの為につく嘘」は、その嘘が明るみに出た時、その人の優しさがわかりますし、信頼を得ることも出来ます。

「今まで一度も嘘をついたことがない！」という人は嘘つきである、と言われるように、私たちの周りには数え切れないほどの嘘があります。

また、嘘をつくことに全く罪悪感が無い人もいます。

この中で自分が幸せでいる為には、なるべく「自分の為につく嘘」はつかないようにし、恋人や結婚相手を探す時には「自分の為に付く嘘」が少ない人を選ぶことをおすすめします。

ちなみに、浮気がばれないように嘘をつくのは「自分の為の嘘」。

真実を知ったら恋人が悲しむから「誰かの為につく嘘」でしょ？というのは通用しませんので、あしからず。

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