大伴家持

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大伴家持

時を超える恋の詩～大伴家持～

先人の恋の歌に耳を澄ませてみる「時を超える恋歌特集」。
今日の歌人は、またまた三十六歌仙から！奈良時代の歌人・大伴家持です★

“夢の逢いひは　苦しかりけり　覚きて　掻き探れども　手にも触れねば”

（夢での逢瀬とは、苦しいものだった。目が覚めるとあなたのすがたは無く、いくら手探りしても、触れることさえできないのだから。）

“我が屋戸の　時じき藤の　めづらしく　今も見てしか　妹が笑まひを”

（庭に咲いた季節外れの藤のように、稀にしか逢えない恋人よ、今すぐ逢って、あなたの笑顔をずっと見ていたい。）

“うつつには　更にも得言はず　夢にだに　妹がたもとを　纏き寝とし見ば”

（現実にそうしたいなどとか、口に出せないだろう。せめて夢にでもあなたの腕を枕にして寝られれば、それだけでじゅうぶんだ。）

「妹」というキーワードが出てきて、ちょっと面喰っちゃった方。ご安心ください！！和歌で使われる「妹」は、兄弟関係を示す意味合いではなく、女性の愛称だったそうです。
現代でいうところの「子猫ちゃん」的な表現ですね！
つまり、

「めったに逢えない子猫ちゃん。今すぐ逢ってお前の笑顔を眺めていたい・・・」

「こんなこと言えないけどさ、せめて夢の中ではおまえのその腕に抱えられて寝むれるなら。それだけで十分なんだよ。子猫ちゃん。」

急に奈良時代の武家の出のエリートが、ハードボイルドなタラシ男風になってしましました・・・。
「子猫ちゃん」は一先ず置いておいて、愛称を使うというのは良いテクニックかもしれませんね！！
いきなりニックネームで呼ぼうとするのはハードルが高いし、相手に引かれたらどうしようと不安に思うものですが、ニックネームでなければファーストネームでもいいです。一定の距離間を保つのももちろん大事なのですが、どうせ「～ちゃん」や「～君」で呼ぶなら、ファーストネームである程度距離を縮めておくのは良いテクニックと言えます。

普通の会話の流れで、自然にできるともっと良いですね！
一見ハードルの高そうなファーストネーム呼びですが、それさえ越えれば愛称まであっという間！呼び方だけで、相手との距離を縮められるなら、やってみた方がお得かも・・・

ぜひ大伴家持の「子猫ちゃん作戦」に倣って、モテ・ライフを送ってください♪

詠み人プロフィール

大伴家持（おおとも　の　やかもち）
養老2年（718年）頃-延暦4年（785年）頃

奈良時代の貴族・歌人。大納言・大伴旅人の子。官位は従三位・中納言。三十六歌仙の一人。小倉百人一首では中納言家持。
『万葉集』の編集に関わる歌人として取り上げられることが多いが、大伴氏は大和朝廷以来の部門の家であり、祖父・安麻呂、父・旅人と同じく律令制下の高級官吏として歴史に名を残す。天平の政争を生き延び、延暦年間には中納言まで昇った。
長歌・短歌など合計473首が『万葉集』に収められている。