“降る雪の　空に消ぬべく　恋ふれども　逢ふよしなしに月ぞ経にける”by柿本人麻呂

（降る雪のように、空に消えてしまいそうなほど恋しいけれど…逢うこともできぬまま時だけが過ぎてしまいました。）

雪や冬。そういった季語を用いた恋の言葉を紡ぐ天才と言えば、恋多き平安歌人たち。

柿本人麻呂といえば、山部赤人と並んで歌聖と呼ばれた歌の名人です。

雪と淡い片想いを重ねてみると、たしかにどちらも一瞬で溶けてしまいそうで、簡単には触れられない切なさがありますね。

触れたら溶けてしまうでしょうが、溶けてしまうからといって何もアクションを起こさなければ想いは積もるばかり。

降る雪を眺めるのはキレイです。でもそれを壊して新しいものを得ようとする勇気も片想いには必要なのかも…。

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“今日は　もし君もや　訪ふとながむれど　まだ跡もなき　庭の雪かな”by皇太后大夫俊成

（今日はもしかすると、キミが訪ねてきてくれるのではないかと眺めているのだけれど・・・まだ庭の雪には足跡が見当たらない・・・）

雪が積もれば、「一番初めに足跡を付けたい！」とついついはしゃいでしまうもの。

でも、その足跡も大好きな人が自分に会いに来るためについてしまった足跡なら、きっともっと嬉しい。

そして出来れば、大好きな人と一緒に足跡を付けながら庭を歩きたいですね。

今年は例年に比べて降雪が多いのだそう。

あなたの家路まで降り積もる雪に、一番初めに足跡を付けてくれる人は誰でしょうか？

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“我が背子と　二人見ませば　いくばくか　この降る雪の　嬉からまし”by光明皇后

（もしキミと二人で見たのなら、どんなに、この降る雪が喜ばしく思うのだろう。）

世界各国ではマイナス20℃を観測するなど、連日大吹雪に悩まされているよう。

でも、深々と降る雪を大切な人と一緒に眺めることができたら、どんなに嬉しいだろう。

人間愛豊に満ちた皇后の暖かい恋の歌。

寒い夜を暖めてくれそうですね。

一緒に降る雪を眺める人、あなたの隣にいますか？

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“白雪の　降り敷く山を　越え行かむ　君をぞもとな　息の緒に思ふ”by大伴家持

（白雪が降りしきるこの山を越えて行く方へ、そんなキミのことを、息も絶えるほど想ってる。）

雪や降りしきる山。まだ自動車どころか整備された山道なんてなかった時代。

大切なものを届けるために雪山を越える人のことを想った歌。

雪だろうと、なんだろうと、自分が届けたいから届けに行く。

そんな頑張る人だから息もできないくらい好きだと想う。

雪も溶けるような暖かい気持ちのこもった恋歌でした。

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“雪の嶋　巌に植ゑたる　なでしこは　千代に咲かぬか　君が簪に”by蒲生娘子

（雪が降りしきる巌に植えたナデシコは、千年は咲き続けるかな。キミの髪にかざしたいの。）

好きな人に野原に咲く花を簪変わりに互いにさし合って、逢瀬を愉しんでいた遥か昔。

お互いにそんなじゃれ合いも出来ずに離れ離れになった恋人へ、「逢えるまで千年だって待つ」と想いを積もらせた切ない恋の歌。

真っ白い雪の中に凛と咲く、優しい色をした日本女性の象徴・撫子に、歌い手の女性の強い意志と相手への愛の暖かさを委ねたのかも。

いつか一緒に花を髪にかざし合って・・・千年の想いを届けるために、あなたはどんなとんちをきかせますか？

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“あはれとも　思はじものを　白雪の　下に消えつつ　なほもふるかな”by詠み人知らず

（キミはなんとも思ってくれやしないのに　それでもボクは心の底でキミへの恋情を燃やし続けてる。雪が、表面ではそうと分からずに溶けてゆきながら、なお降り積もるように・・・）

恋多き平安の女流歌人・中務へ想いを伝えようと歌った男性の気持ち。

どんなに気持ちが通じ合っていてたとしても、身分の違いで想いを成就させることができなかった時代。

相手への気持ちは雪のように降り積もっていて、そして心の中は冷たい雪を溶かしていくように熱い気持ちで満ちている。

想われ人の中務は、どんな歌で返したのでしょうか？

男と女の想いが渦巻く恋模様を連想させる冬の恋歌。

続きは冬恋・漆で・・・

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“ほどもなく　消えぬる雪は　かひもなし　身をつみてこそ　あはれと思はめ”by中務

（すぐに消えてしまう雪は　いくら「積もる」と言われても頼りにならないよ。キミがワタシの痛みを知ってくれたなら、キミのことちゃんと考えるから。）

逢いたくても簡単には逢えない。いくらでも女性との関係を持って良い。

いろんな非常識が常識だった時代。

いくら好きだと言ってくれても信じられないと思う告白もあったのかも。

自分への気持ちをすぐに溶けてしまう雪と同じだなんて、どうしたら信じられるの？

いつまでも自分だけを愛し続けて欲しい、そんな中務の、心が締め付けられるような想いが伝わってくる冬の切ない恋物語でした。

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“かきくらし　ふる白雪の　下ぎえに　きえて物思ふ　ころにもあるのかな”by壬生忠岑

（空を曇らせながら積もっていく雪が　下から融けて消えていくように・・・心の底では消え入りそうな想いをしながら過ごしてる。）

晴れ晴れとした空を、あっという間に曇らせて辺りを真っ白に染め上げてしまう雪。

積もった雪を観るとはしゃいでしまうけれど、実はどんどん融けて消えてしまっている。

一瞬で好きになって、想いは募るばかりなのに伝えられなくて消えてしまいそう。

人には言わないけれど、苦しい恋をしている人の恋の歌。

きっかけは自分次第。ゲレンデマジック起こしてみては？

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“落ちつもる　涙の露は　さよ衣　さえても袖に　みえけるものを”by宮内卿

（恋にこぼす涙の露が袖に溜まっていくの・・・澄んだ光で輝く月が映ってしまうほど涙が止まらないよ。）

逢いたいけれど逢えなくて、涙することもある夜。

涙に映った冬の月は、澄んだ光をはなっているけれど。

その冴え冴えしい輝きが、大好きな人に逢えない自分の寂しさと響きあっているよう。

同じ空にいるのに離れた場所で眺めている。きっと一緒に眺められたらもっと綺麗な冬の月。

ちょっと素直になって、大好きな人にお願いしてみては？

「愛に来て」って。

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲

“あは雪の　たまればかてに　砕けつつ　我が物思ひの　しげき頃かな”by詠み人知らず

（淡雪が枝に積もると耐えきれずに砕けて落ちてしまうでしょう？ワタシの心も砕けるような想いなの。）

触れるとすぐに融けてしまう雪なのに、積もると重みは増すばかり。

枝だってへし折って、最後には砕け散ってしまう。

いろんなものを傷つけて、最後には壊れてしまう想いは悲しいです。

あんなに優しく降る雪なのだから、きっと傷つけるだけしかできないなんてことはないはず。

砕けてしまう前に自分の力で融かす努力を。

☆a'ccu☆
公式ＨＰ→https://www.accu.co.jp
たたむ▲